「五つ星 お米マイスター」西島豊造氏に聞く お米の知識 Vol.3

vol.3 「春の炊き込みご飯」
春の食べ物には、タケノコ、菜の花、春キャベツ、新玉葱、たらの芽、桜海老、ホタルイカ等がありますが、
人気は3月から5月が旬で、国内で食用タケノコとして一般的なモウソウチクを使った炊き込みご飯だと思います。
タケノコは、不溶性食物繊維のセルロースが豊富で、便量増加や腸内環境を整えるため、
便秘や大腸がんの予防にも効果的で、さらに、コレステロールの吸収を抑える働きや塩分の排出を促す、カリウムを多く含む等、
動脈硬化や高血圧の予防にも期待出来ると言われていますが、最も好まれている理由は、香りが良く、甘みがあり、柔らかい食感でしょう。
そして、その旬の特徴をより楽しむためには、お米選びが大切となります。
うるち米ともち米を混ぜたもっちりとした食感と豊かな風味が魅力のおこわの場合は、薄めの味付けが多いので、タケノコは大きすぎず小さすぎず、バランスを重視してください。
もち米とうるち米の比率はお好みですが、もっちり感を強くするには、もち米の量を多くすると良いでしょう。
品種は、新潟県“コシヒカリ”、福井県“いちほまれ”、山形県“夢ごこち”等、もち米との相性の良いお米が良いでしょう。
うるち米だけの柔らかい炊き込みご飯が好みの場合は、味は濃い目だと思いますが、
ご飯が軟らかいので、タケノコは薄めに切るようにすると、味と食感のバランスが良いと思います。
品種は、北海道“ゆめぴりか”、宮城県“ひとめぼれ”、秋田県“淡雪こまち”、茨城県“ミルキークイーン”、高知県“にこまる”、佐賀県“夢しずく”等がお薦めです。
うるち米だけで、米粒感や喉ごしを重視した炊き込みご飯の場合も、やはり味付けは濃い目にすると思いますが、味と米粒感と食べ応えのために、タケノコを肉厚にしたり、大きめに切ると良いでしょう。
品種は、山形県“雪若丸”・“はえぬき”、秋田県“あきたこまち”、福島県“福笑い”、茨城県“ふくまる”、新潟県“新之助”等を選んでみてください。
家庭用精米機で精米する場合は、白米から7分搗きまでの範囲です。
精米レベルを落とすと硬いというよりボソボソという食感になり、味付けともタケノコとのバランスも悪いので、お薦めは致しません。
お手元にあるお米の炊き上がり具合が硬めと感じる場合は、精米機の再精米を使用してみてください。
再精米をする事で、米粒の表面に新しく細かい傷がつくため、味が染み込み易くなりますし、炊きあがり食感も柔らかめに感じられると思います。
炊く時の注意点としては、一部SNSでは、研いだ後にザル上げをして水を切るようにと書いてありますが、それですとお米が割れてしまうので、研いだ後、そのまま炊飯器の内釜に移して、水もしくはだし汁を入れて、浸水させてください。
