2025.05.14

「五つ星 お米マイスター」西島豊造氏に聞く お米の知識 Vol.4

おにぎり

 ご飯を握って、中に様々な具材を包み込み、何時でも気楽に食べられる日本の伝統的な料理でありながらも、今は世界中で人気となっている、「おにぎり」と「おむすび」。
実は、呼び方が異なるだけで、両者に大きな違いはありません。

通説では、東日本では「おにぎり」、西日本では「おむすび」と呼ぶことが多く、九州や沖縄では「にぎりめし」や「にぎり」と呼ぶ事が多いと言われていますし、「おにぎり」は「握る」こと、または、鬼を切ると書いて「鬼切り」に由来し、手で握って作るものを指していて、「おむすび」は「結ぶ」という言葉が語源とされ、幸せや縁を結ぶ意味が込められているという説もあります。

 形は、三角(山型)、俵型、丸型、円盤等様々。作り方も、型、ラップ、銀紙、お茶碗等様々で、2015年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補語にもノミネートされた、握らないで作るおにぎり「おにぎらず」も、今や立派なおにぎりと言えるでしょう。
その、誰にとっても身近で親しみやすい「おにぎり」だからこそ、より美味しく食べてもらうために、注意してもらいたいことがあります。

 まずはお米ですが、握った時に、米粒と米粒の間に隙間があり、米粒が潰れていない米粒感と弾力があり、食べている最中にポロポロと崩れない、強すぎない粘りがあるお米を選ぶか、少しだけ硬めに炊き上げるようにします。
お薦めの品種としては、新潟県“新之助”、山形県“雪若丸”・“はえぬき”、秋田県“サキホコレ”、茨城県“ふくまる”、佐賀県“さがびより”等が良いと思います。

お米は、研いだ後にザルに挙げて水を切ったりしない。炊飯器の早炊きを使わない。の2つを守って、いつも通りに炊いて下さい。
炊きあがったら、米粒を潰したり、こねたりしないで、米粒と米粒を切り離すような感じで、ふっくらサラサラと、たっぷりと空気を含ませるようにほぐします。

握り方は様々あると思いますが、いずれにしても、ご飯が暖かい状態で握ると思いますので、握った後はそのまま放置せずに、ラップや銀紙等は一度広げて、粗熱を逃がしてから包み直して下さい。お弁当箱も直ぐに蓋をしないで、熱を逃がしてから蓋をして下さい。
些細な事なのですが、これだけでもおにぎりの味が落ちにくく、食べるときの食感や口当たりも大きく変わりますし、雑菌などの繁殖も抑えられます。
具材も、抗菌作用のあるもの、しっかりと火が通っていて水分が少ないもの、味付けが濃く塩分が高いものを選んでください。

暖かい時期には避けてほしいのは、傷みやすい炊き込みご飯と、水分の多い具材、そして、意外とやりがちな海苔巻きです。ごはんの水分を吸った海苔にも菌は増殖しやすいので、食べるときに巻く事をお薦めします。